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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

“帰ってきたワーゲンバス”ID.Buzz遂に発売!ただし…ほぼ900万~1000万円ってマジ?

公開日: 更新日:

フォルクスワーゲンID.Buzz(車両価格:¥8,889,000/税込み〜)

 欧州車好き待望の“帰ってきたワーゲンバス”こと新型フォルクスワーゲンID.Buzzが遂に日本発売!

 いわば50~60年代にヒッピーの間で流行ったオシャレミニバン、VWタイプ2の進化版であり再来。それだけに気になるが現実はシビアで、日本導入価格はショートホイールベースの6人乗りBuzzプロが888.9万円で、ロングホイールベースの7人乗りBuzzプロロングホイールベースが997.9万円と、結構つらい。

 欧州スタート価格が6万5000ユーロ近かったから800万円超えも予想されていたが、ここまで行くとは。

 発売もVWの中では商用車扱いだったり、戦略的バッテリーEVのIDシリーズだけに欧州発表から3年かかっており、いろんな意味で手間は掛かっている。

 とはいえ、今や日本は世界に冠たるミニバン大国で、高級車ゾーンはトヨタ アルファード&ヴェルファイアに席巻され、しかも両者共に人気が高すぎて受注停止状態とくる。

 ID.Buzzも本当は手軽なハイブリッド版が欲しいが、ミニバン大国のニッポンとして試さないわけにはいかないだろう。

もうちょい幅が狭ければ日本向けだったのに…

 サイズだが、長さは意外と手頃で、6人乗りBuzzプロが全長4.7m台で7人乗りプロロングホイールベースが4.9m台と、長い方でもアルファードとほぼ一緒。ただし全幅はガチ欧州車なので、両者共に1.985mとアルファードより10cm以上も広い。高さ1.925mは、ほとんど変わらない。

 何よりVW自慢のホワイトツートンのワッペングリルはやはり可愛く、日本人好み。もうちょい幅が狭いとより日本向けだったのにと思う。

 インテリアは基本商用車だけにゴージャスではないし、メッキパネルやソフトパットの使用率も低いがオシャレ。シート表皮はファブリックだが、イメージ通りに明るく上品なワーゲンクオリティー。アルヴェルのラウンジっぽいゴージャスさが苦手な人には向いている。

 ただし肝心の2列目シートにはアルファードのようなボックスシートは設定がないし、パワーシートやシートリラクゼーション機能もなし。この手が付くのは1列目の運転席&助手席だけ。国産ミニバンのような左右パワースライドドアやパワーテールゲートは標準装備し、2列目に限ってはシートヒーターも付けられる。

もうちょい安ければねえ

 一方、走り味はまだ試せてないのでわからないが、既存の電動IDシリーズを考えると間違いなく乗り心地はフラットで良好、静かさもEVだけあって十分。

 パワー的には全車リアモーターのリア駆動でピークパワー&トルクは286ps&560Nmと十分。車重は2.5トン以上でロングホイールベースは2.7トン強だが、それなりに走るはず。

 航続距離もプロが84kWhの電池搭載でモード走行で524km、プロロングホイールベースが91kWhで554kmとかなり走る。実際には400km前後だろうが全長5m弱で2.5トン以上のフル電動ミニバンがそれだけ走れば御の字だろう。

 また最新VWらしく、遠くまで明るく照らせるIQライトなるLEDマトリクスヘッドライトやアダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシスト、同一車線内全車速運転支援のトラベルアシストも標準装備。

 つくづく懸案は2m弱の横幅とフルEVシステムと価格。特に価格はもうちょい安ければアルファード&ヴェルファイアのガチ代替にはならないが、欧州ミニバンEVの実力を試してみようという人も出てくるはず。

 来年度には日産ラージミニバン、新型エルグランドの久々の投入も確実視されてるし、この日本でいろんなミニバンの世界を試してみたいではあーりませんか!

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