著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

ヘルペスウイルスが認知症の原因になる? 治療で17%リスク低下

公開日: 更新日:

 認知症の原因は正確には不明ですが、ウイルス感染が認知症の起こるきっかけになっているというのは、10年以上前から提唱されている仮説です。認知症の代表であるアルツハイマー型認知症では、アミロイドβという種類の異常タンパクが脳にたまりますが、このアミロイドβは、ウイルス感染を治すために産生されているもので、その歯止めが利かなくなることで、認知症が起こるのではないか、という考え方です。

 これが事実であるとすると、どのようなウイルス感染が、その原因として考えられるのでしょうか? 今年のイギリスの医学誌に、単純ヘルペスウイルス1型の感染と、アルツハイマー型認知症との関係を調べた論文が掲載されています。

 単純ヘルペスウイルス1型というのは、「熱の華」と通称される、口の周りに痛みを伴う水ぶくれを起こすウイルスですが、アメリカで調査したところ、このウイルスの感染はその後のアルツハイマー型認知症のリスクを1.8倍も増加させていることが明らかとなったのです。

 さらに注目すべきことには、この感染症を抗ウイルス剤で治療すると、しない場合と比較して、アルツハイマー型認知症のリスクが17%低下していたのです。これはまだ仮説ですが、今後、ウイルス感染の予防や治療が、認知症の予防として活用されるようになるかもしれません。

【連載】医者も知らない医学の新常識

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  2. 2

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  3. 3

    国分太一が無期限活動休止へ…理由は重大コンプラ違反か? TV各局に全番組降板申し入れ、株式会社TOKIO解雇も

  4. 4

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題か...大谷の“献身投手復帰”で立場なし

  1. 6

    中学受験で慶応普通部に合格した「マドラス」御曹司・岩田剛典がパフォーマーの道に進むまで

  2. 7

    進次郎農相の化けの皮ズルズルはがれる…“コンバイン発言”で大炎上、これじゃあ7月参院選まで人気持たず

  3. 8

    砂川リチャード抱える巨人のジレンマ…“どうしても”の出血トレードが首絞める

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  5. 10

    「育成」頭打ちの巨人と若手台頭の日本ハムには彼我の差が…評論家・山崎裕之氏がバッサリ