「代理処罰」嶋中潤著

公開日: 更新日:

■「誘拐された娘を救うべく奔走する父親の戦いを描いたミステリーです」

 14年間毎年応募し続け、8回も最終候補に残りながら受賞を逃してきた“ベテラン新人”が、ついに作家デビューを果たした。予選委員から“待望の”と拍手を送られた本作は、家族愛を軸としたミステリーだ。
「娘を誘拐された父親が、彼女を救うべく奔走する物語です。そこには、巨大企業の陰謀や世界的組織の暗躍などの大仕掛けは存在しない。これまで書いては落選してきた作品と比べても設定が地味で、実は今回も駄目だろうなと思っていたんです(笑い)」

 主人公の岡田亨は、ごく普通のサラリーマン。16歳の娘と、7歳の息子がいる。しかし2人の世話は実家の母親に任せ、岡田はひとりで暮らしている。妻のエレナはブラジル人で、サンパウロ赴任中に出会って結ばれた。しかし今、エレナは日本にいない。それどころか、ある日突然子供たちを置いてブラジルに帰国し、行方不明になっている。そんなさなか、夜になっても娘の悠子が帰宅しないという連絡が入り……。

「娘の足取りを追おうとする岡田ですが、気づけば娘の交友関係も、何に悩んでいたかもさっぱり分からない。思春期の娘と真正面から向き合える父親がどれほどいるか分かりませんが、もしも不測の事態が起きたとき、子供を知らないままでいたことがどれほどの後悔になるか。そんなことをリアルに感じてもらえればうれしいですね」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー