さらに、遠隔操作で走るリニアには運転士がおらず、走行区間の71%が深い地下と山岳トンネル内だ。車窓の景色を楽しめないだけでなく、密閉空間内で事故や地震が発生した場合の安全性にも不安が残る。公共性が高いプロジェクトは、国民一人一人にとって他人事では済まされない。リニアの建設費は、年間公共事業費を大幅に上回る9兆円とされている。
プロジェクトが失敗に終わった場合、損失や負担は経営陣のみならず納税者たる国民全体に及ぶことは、福島第1原発の事故からも学んだはずだ。本書では、東京湾横断道路など過去の失敗プロジェクトも取り上げながら、リニア計画のあり方を徹底検証していく。