「旅はときどき奇妙な匂いがする」宮田珠己著

公開日: 更新日:

 数年前から右足に謎の痛みを感じるようになった著者は、病院に行っても原因がわからないその痛みを「ペリー」と名付け、ペリー来襲から逃れるべく休暇旅行に出かけた。若い頃に追求した他の誰にもできない自分だけの旅でも、紀行文を書くことを目的とした仕事のための旅でもなく、悩みを軽減するために自分の気分と都合だけを優先した自由な旅の原風景に戻ろうと決意したのだ。

 そんな気分で選んだ旅先は、台湾、マレーシア、インド、熊本。心の底からリラックスできる旅をするため、ボロボロの文庫本を荷物に忍び込ませ、飛行機恐怖症の軽減策を考え、心の赴くままホテルや散策する町を選択してアジアをさまよう。果たして、休暇としての理想的な旅は実現できたのか――。

 サラリーマン生活を経て、「旅の理不尽」でデビューした著者による迷走旅エッセー。旅先の見どころを紹介した紀行文と違い、気ままな旅ならではの非日常感をユーモアたっぷりにつづっている。

(筑摩書房 1500円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    星野監督1年目…周囲から浮いても関係ない「今岡は変わった」と思わせたくてアップから全力だった

  2. 2

    フジテレビ騒動で蒸し返される…“早期退職アナ”佐藤里佳さん苦言《役員の好みで採用》が話題

  3. 3

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  4. 4

    若林志穂さん「生活保護受給」をXで明かす…性被害告発時のアンチ減り、共感者続出のワケ

  5. 5

    フジ・メディアHD経営刷新委に吉田真貴子氏の名前…"高級和牛ステーキ接待"で辞職→天下り疑惑の元総務官僚

  1. 6

    今季日本人13人参戦の米女子ツアー 厄介な「敵」は会場ごとに異なる芝質だけではない

  2. 7

    まさか破局? 綾瀬はるか《痩せすぎじゃ?》の声で気になる11歳年下アイドルとの結婚の行方

  3. 8

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘

  4. 9

    長澤まさみの身長は本当に公称の「169センチ」か? 映画「海街diary」の写真で検証

  5. 10

    フジテレビ危機で泣いた松本潤、笑うキムタク…「どうする家康」の黒歴史を“上書き”できない不運