「メガバンク絶滅戦争」波多野聖著

公開日: 更新日:

 物語の舞台は、東西帝都EFJ銀行。帝都グループの要である帝都銀行、外国為替専門の国策銀行を出自とした東西銀行、関西を地盤に全国展開していた大栄銀行と中部地方を基盤とする中京銀行が合併して出来たEFJ銀行が、金融庁主導でさらに合併して誕生したメガバンクだ。合併以来、帝都銀行がその主導権を握り、EFJ出身者は地方や子会社へ次々と飛ばされるなか、二瓶正平はEFJ出身者でありながら本店総務部内で生き残っていた。

 しかし上層部の判断で極秘に行われた5兆円40年債という超長期国債の購入と、その1週間後に起こった日本国債の暴落で破綻の危機に陥った銀行内で、修羅場の経験を買われて思わぬ抜擢を受ける。生き残りをかけて伝説的為替・債券ディーラー桂光義と共に、虎視眈々と買収を狙う外資ファンドや、米国の意のままに動く官僚に立ち向かうのだが……。

 国債暴落を発端としたメガバンク買収合戦を描いた経済エンターテインメント小説。野村投資顧問、クレディ・スイス投資顧問などで投資運用業務に携わった著者ならではのリアリティーが、読み手をぞくりとさせる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲