「新・戦争論」池上彰・佐藤優著

公開日: 更新日:

 ベルリンの壁の崩壊とソ連の解体によって冷戦が終結したとき、これで20世紀を覆った「戦争」も終息に向かうのではないかと期待が寄せられた。しかし現実は、旧ユーゴスラビアの内戦、アメリカ同時多発テロ、……近年ではウクライナの内戦、「イスラム国」の台頭と、新たな戦争の世紀へと突入している感がある。

 そうした冷戦終結以降の戦争を、ジャーナリストの池上彰と作家で元外務省主任分析官の佐藤優が、互いにとっておきの知識を駆使して読み解いていく。

 導入は安倍政権の提唱する集団的自衛権の問題。佐藤は国際法の観点から同法は有名無実であると断じ、日本と世界のグローバルスタンダードとのズレを指摘する。続いて池上は「イスラム国」や民間軍事会社の出現により、従来の国家同士の戦いとは異なる複雑な構図の戦争の実態を紹介。以後、中国の少数民族問題、ウクライナ問題の歴史的経緯、イスラム教各派の確執、北朝鮮の拉致問題の行方、尖閣諸島問題への対応策と話題は多岐に及ぶ。混迷する世界情勢の羅針盤として格好の一冊。

(文藝春秋 830円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    矢沢永吉と郷ひろみ…NHK紅白で浮き彫りになった“待遇格差”の現実 視聴率35%回復も問題山積

  2. 2

    松任谷由実1989年の"稼ぎ"は1人でホリプロ&イザワオフィスを凌駕していた!紅白“特別企画”枠で出場

  3. 3

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(2)

  4. 4

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(3)

  5. 5

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(1)

  1. 6

    水森かおりが振り返る一番の窮地 デビュー3年目で宣告された「結果が出なかったら来年の契約はない」

  2. 7

    箱根駅伝中継所ドクターは全員が順大医学部OB…なぜか協力しない大学がウジャウジャ

  3. 8

    青学大駅伝選手 皆渡星七さんの命を奪った「悪性リンパ腫」とはどんな病なのか?

  4. 9

    2026年は米価が値頃になるのか? 昨年末には最高値更新も業界には先安感漂う

  5. 10

    有吉弘行が紅白リハーサルでけん玉失敗…「もう年なのか眠りが浅いんで、夢の中で生きてます」