【下流と貧困】「下流社会」が流行語になってからはや10年。いまや下流を超えて貧困が固定化しているという。

公開日: 更新日:

 10年前、「下流社会」でベストセラーをとばした著者。果たして日本はさらなる下流化を続けているのか、それとも中流に何とかとどまっているのか。その答えを探して新たな調査を展開、その結果をまとめたのが本書だ。

 冒頭ショッキングなのは、著者が分析した調査回答者全体の階層意識。「上」から「下」までを5段階に分けた結果では「中の中」が35・8%と最大だったが、上中下3段階に分けると「上」14%、「中」36%、「下」43%。過去10年で下流化が進行し、意識のトップに出たのだ。この数値は高度成長が始まったばかりの昭和30年代半ばとほぼ同率。そこまで時代が「逆戻りした」と著者はみる。

 細かく見ると、いまや60代で現役を退いた団塊世代がことごとく下流化意識を顕著に示している。他方で2000万円以上もする輸入車は売り上げを伸ばし、軽自動車とならぶほどの高い購買力を見せる。つまりみんなが「いつかはクラウン」と憧れる時代は去り、富裕層はますます豊かに、そして大衆はますます下流化するという二極の格差が固定化する時代になっているのである。(光文社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず