【ガラパゴスじゃぱん】日本製品は「ガラパゴス化」だと批判されるが実は企業体質までがそうなのではないか

公開日: 更新日:

「ドキュメント パナソニック人事抗争史」岩瀬達哉著

 世界に冠たる大企業。松下電工からナショナル、さらにパナソニックへと国際的に飛躍する姿は日本企業のモデルでもあった。ところが――。

 松下幸之助というカリスマ経営者の泣きどころは暗愚な娘婿・正治。幸之助は早くからその限界を見抜いていたが、娘かわいさの妻には頭が上がらず、腹心たちへの遺言もむなしく正治の社長・会長時代を許してしまう。天下のパナソニックがおかしくなり始めたのはそこから。つづく山下・谷井社長時代はまだしもだったが、結局このときも正治の会長降ろしを実現できず、それどころか正治の長男・正幸への“世襲路線”を阻止できなかった。

 苦労して買収した米映画MCAも、ソニーやフィリップスとせっかくまとめたDVDの統一規格も正治の気分ひとつでほごになり、森下・中村・大坪社長時代にはもはや幸之助のころの進取の気性は消え失せて上役の顔ばかりをうかがう典型的な大企業病にとりつかれてしまったのだ。

 実名が次々に出て、数十年にもわたる社内人事の暗闘がこれでもかとばかりに描かれる実にコワい本。(講談社 1380円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」