ペリリュー島を舞台に小林よしのりが描く戦争漫画

公開日: 更新日:

 主人公の神平は、撃たれたふりをして塹壕に身を潜め、バラバラの肉片となった死体をかき集めてその中に隠れ、自らを卑怯者と自覚しながらも何とか生き延びようとする。生に執着する餓鬼と化したその姿に、戦争を知らない世代は圧倒されるだろう。

 著者は安保法案に対し「シビリアンの暴走」と強い批判の姿勢を示しているが、本作に関しては主張したいイデオロギーがあるわけではなく、もっとも過酷な戦場における兵士の心理を描きたかっただけと語っている。物語の終盤には、手足を失い軍神様とあがめられた帰還兵が、物乞いをして暮らす戦後の様子なども描かれていく。戦争の現実と、戦後も続く悲劇を、我々はどれだけ理解できているだろうか。


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  2. 2

    阪神・才木浩人はドジャース入りで大谷と共闘の現実味…「佐々木朗希より上」の評価まで

  3. 3

    ヤクルト村上宗隆の「メジャー契約金」は何億円?

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    吉沢亮「国宝」150億円突破も手放しで喜べない…堺雅人“半沢直樹ブーム”と似て非なるギャラ高騰の行方

  1. 6

    国民民主党“激ヤバ”都議に「免許不携帯」疑惑 日刊ゲンダイの直撃にブチ切れ!【動画あり】

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  3. 8

    日本ハム最年長レジェンド宮西尚生も“完オチ”…ますます破壊力増す「新庄のDM」

  4. 9

    シード漏れ“ほぼ確”渋野日向子が10日開幕の国内戦へ…原英莉花や岩井ツインズ、古江らも集結

  5. 10

    カムバック星野監督の“2カ月20kg”の無茶ぶりに「嫌です」なんて言えるはずもなく…