メディアのウェブ化で政治の暴走が加速する!?

公開日: 更新日:

 2014年、フランスでは全国紙リベラシオンが倒産を免れるため従業員の3分の1を解雇し、地方新聞社ニース・マタン社が会社更生法の適用を受けた。アメリカでは2007年以降に12の地方新聞社が廃刊し、もはや多くの郡に地方紙が1紙も存在しない状況になっている。その一因となっているのが、ウェブ化の波だ。

 ジュリア・カジェ著、山本知子・相川千尋訳「なぜネット社会ほど権力の暴走を招くのか」(徳間書店 1600円)は、世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者、トマ・ピケティ氏の妻である経済学者によるメディア論。いまメディアで起きている異変と、今後のメディアの在り方を考察している。

 紙媒体の縮小が加速するなか、急速に増えているのがウェブ版のニュースサイトだ。クリックひとつで、ほぼリアルタイムで選挙結果を都市ごとに図解入りで見ることも可能になった。CGやハイパーリンク、オンラインビデオなどの多用で、ニュースをより分かりやすく提供できるようにもなっている。しかし、限られた財源のもとでウェブ革命が行われた結果、多くの紙媒体はニュースの作り手である記者を解雇し、代わりに情報処理技術に長けた従業員を雇用せざるを得なくなった。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」