「ようこそ夢屋へ 南蛮おたね夢料理」倉阪鬼一郎著

公開日: 更新日:

 安政3年の春、おたねと誠之助の夫婦は、芝の伊皿子坂に飯屋「夢屋」を開く。夫婦は上野黒門町で寺子屋を構えていたが、半年前の大地震で被災。預かっていた子供らは助かったが、幼い娘・ゆめを失ってしまった。

 傷心の中、被災者の炊き出しを手伝うおたねは、同じく震災で夫を亡くしたおりきと意気投合し、2人で店を切り盛りする。一方の誠之助は、師の佐久間象山が蟄居する信州と江戸を行き来しながら、店のために南蛮わたりの食材を探してくる。そして、白金村の農夫・杉造が毎朝持ち込む産みたての卵や、新鮮な野菜を使った店の名物玉子飯を求める客で、店は賑わいをみせるのだった。

 おたねの人柄と料理のぬくもりが人々の心をいやす人情時代小説。(光文社 600円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択