「認知症とともに生きる」山村基毅著

公開日: 更新日:

 10年後には700万人を超えるといわれる国内の認知症患者。昨年、政府は「認知症施策推進総合戦略」を策定し、“認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現”を目指すという。

 しかし、要するにこれは“可能な限り自己責任で家族が世話をしろ”という内容だ。政府の対策は、患者と家族の暮らしが犠牲にされていると言わざるを得ない。

 一方、20年以上前から認知症問題の本質に取り組んでいる病院もある。本書では、精緻な検査や臨機応変な薬物療法、そして多彩な作業療法プログラムなどで患者の尊厳を守りつつ、介護負担ゼロも目指す奈良県の「ハートランドしぎさん」の取り組みをルポ。認知症医療のモデルケースを示している。

(幻冬舎 1400円+税)




最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋