「四百三十円の神様」加藤元著

公開日: 更新日:

 牛丼屋のバイトの岩田は、西崎の代わりにシフトに入った。すると派手な女が入ってきて「西崎、いるでしょう?」。西崎が彼女の財布を持っていってしまったため、昨日から何も食べていないと言う。テーブル席で日本酒を飲んでいた中年の男が、同情しておごってくれた。牛丼並と生卵で430円。「神様みたいな人だわ」という言葉に、岩田は元野球選手の父と同じポジションだったショートの選手を思い出した。父は「あいつは野球の神様に愛されているんだ」と言っていた。ある日、連れの女が投げた携帯電話を腰を落として受け取る中年男の姿に、岩田ははっとした。(表題作)

 心に灯をともしてくれる7編の短編。(講談社1500円+税)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択