「誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方」石原藤樹著
高齢化社会で慢性疾患を抱える患者が増え、たくさんの薬を常用している人が増えている。元六号通り診療所所長、北品川藤クリニック院長として多くの患者を診てきた著者は、「慢性疾患の投薬治療で重要なことは、薬を始めるタイミングとその始め方、薬をやめるタイミングとそのやめ方にある」という。
本書では、安定剤と睡眠剤、降圧剤、コレステロール降下剤、ワルファリン、糖尿病治療薬、抗甲状腺剤について、それぞれ始め方とやめ方を解説。ガイドライン、文献、臨床経験を総合的に鑑みて行き着いた方法を提案している。
たとえば、パニック障害や不眠症の患者に処方される「ベンゾジアゼピン」は、急に中断すると病状が悪化するため、離脱には注意が必要だ。著者は、徐々に減量する「漸減法」と、別の薬に置き換えてから離脱にもっていく「置換法」を組み合わせているという。
ただ、重要なのは、事前に患者としっかり相談して薬のリスクを説明し、離脱の意思を確認すること。その上で、離脱スケジュールを共同で作成し、薬を替えずに2週間に10分の1ずつ減らしていくという。
自分が飲んでいる薬の正しいやめ方を知っておきたい。(総合医学社 2500円+税)