「誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方」石原藤樹著

公開日: 更新日:

 高齢化社会で慢性疾患を抱える患者が増え、たくさんの薬を常用している人が増えている。元六号通り診療所所長、北品川藤クリニック院長として多くの患者を診てきた著者は、「慢性疾患の投薬治療で重要なことは、薬を始めるタイミングとその始め方、薬をやめるタイミングとそのやめ方にある」という。

 本書では、安定剤と睡眠剤、降圧剤、コレステロール降下剤、ワルファリン、糖尿病治療薬、抗甲状腺剤について、それぞれ始め方とやめ方を解説。ガイドライン、文献、臨床経験を総合的に鑑みて行き着いた方法を提案している。

 たとえば、パニック障害や不眠症の患者に処方される「ベンゾジアゼピン」は、急に中断すると病状が悪化するため、離脱には注意が必要だ。著者は、徐々に減量する「漸減法」と、別の薬に置き換えてから離脱にもっていく「置換法」を組み合わせているという。

 ただ、重要なのは、事前に患者としっかり相談して薬のリスクを説明し、離脱の意思を確認すること。その上で、離脱スケジュールを共同で作成し、薬を替えずに2週間に10分の1ずつ減らしていくという。

 自分が飲んでいる薬の正しいやめ方を知っておきたい。(総合医学社 2500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態