「遠い唇」北村薫著

公開日: 更新日:

 向井さんは、作家の私が新人のころから親しくしている編集者。新著が出ることになり向井さんの出版社を訪ねた私は、数年前に亡くなった彼女の夫の話を聞く。入院中の夫に頼まれ、和菓子の「黄身しぐれ」と「葛ざくら」を届けたら、夫は包み紙の裏に「しりとりや 駅に かな」と書いて、「駅に」と「かな」の間に黄身しぐれを置いたという。俳句をたしなむ向井さんへの謎かけらしい。

「駅に君 時雨かな」と読み解いた私に向井さんは、高校時代の夫との出会いを語りだす。しかし、字数も合わず、「しりとりや」の意味も分からず、俳句にもなっていない。(「しりとり」)

 ミステリーの名手が人の心にわだかまる「暗号」を解いていく短編。(KADOKAWA 1400円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    活動終了「嵐」メンバー「消える人」と「生き残る人」…“一番先行きが厳しい”のは?

  2. 2

    Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る

  3. 3

    松尾雄治さん(1)ゴルフ場で意識を失う…「気が付いたら病院のベッドでした」

  4. 4

    メジャー屈指の不人気球団が佐々木麟太郎を指名…“銭ゲバ”マーリンズの黒歴史

  5. 5

    ビートルズよりもストーンズよりもすごいバンド、ラトルズ!

  1. 6

    女性を巡る愛憎より友情が勝った永遠のバディー

  2. 7

    “スジ悪”すぎる副首都法案のボロが露呈…国会審議で維新の「大阪ありき」に集中砲火

  3. 8

    48年ぶり映画出演の由美かおるさんが語る 人生が変わった瞬間「11PM」「水戸黄門」エピソード

  4. 9

    はつらつプレーで4人に音楽の喜びを取り戻させた陰のMVP

  5. 10

    木原稔官房長官「国会会期延長必要ない」が波紋呼び修正…失言連発で“調整役”として機能せず