時代に翻弄される「沖縄の底力」

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「沖縄からはじめる『新・戦後入門』」飢餓陣営・佐藤幹夫編

 ベトナム反戦や成田闘争には声を上げたはずなのに沖縄問題になると頼りない、という団塊世代は少なくない。戦後の沖縄は「本土復帰」を祝いながらも実はヤマト(本土)への違和感を心中深く秘めていた。そのしこりが、いま基地問題を契機に一気に噴出したのだ。本書は「敗戦後論」で日本の戦後思想史を鋭く突いた加藤典洋をかこむかたちで編集された雑誌特集形式の論集。

 収録されたインタビューでは、裁判官という立場から沖縄差別と戦ってきた仲宗根勇氏は今回の米大統領選後の沖縄問題の見通しを聞かれ、クリントンなら現状維持だろうが、トランプ勝利なら「むしろそれを好機にいい結果のほうに導けるんじゃないか」という。こうした発想がどこから来るのか、その入り組んだ背景が本書に満載されている。(言視舎 1600円+税)


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