「遊戯神通 伊藤若冲」河治和香著

公開日: 更新日:

 明治36年、友禅や西陣の図案家の雪佳は、打ち合わせに行った川島織物で伊藤若冲の「動植綵絵」をつづれ織りの壁飾りに仕立てているのを見学。仕掛け人は日本郵船のニューヨーク支店に勤務する三原だった。三原によると、翌年のセントルイス万博で公開するパビリオンのテーマが伊藤若冲なのだという。そんな中、雪佳は、若冲の末裔で、舞妓の玉菜と知り合う。

 ある日、雪佳は玉菜に頼まれ、伏見に住む彼女の祖母・極子を訪ねる。極子は若冲の生家である錦市場の青物問屋「枡源」の8代目に嫁いだが、枡源は彼女の孫の代に没落。極子は、嫁いだころはまだ存命だった若冲の妹・美以から聞いたという若冲の話を語りだす。江戸と明治を行き来しながら、天才絵師の心の内奥に迫る長編小説。(小学館 1650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明