「一〇一教室」似鳥鶏著
大学院生の拓也は、叔母に誘われ、いとこの英人が学ぶ恭心学園の体育祭を見学に行く。全寮制中高一貫校の恭心学園は、教育再生を掲げるカリスマ教育者の松田が創立。難関校への高い進学率を誇るとともに、引きこもりや不良の更生でも実績を挙げ、世間の注目を集めていた。翌月、拓也は英人の訃報を聞き耳を疑う。死因は虚血性心疾患だというが、告別式では棺が開けられることもなく、拓也は不審を抱く。拓也は、同じ思いを抱くいとこの沙雪と遺品を受け取りに行くという名目で学園を訪ねる。養護教師の金尾によると、教師たちは部活中に倒れた英人を、金尾の判断も仰がず、自ら病院に運んだという。
生徒を外界から隔離し管理する学校を舞台に描く長編ミステリー。(河出書房新社 1600円+税)