「シリア難民」パトリック・キングズレ―著 藤原朝子訳

公開日: 更新日:

 近年、ヨーロッパに押し寄せる数十万単位の難民が大きな問題となっている。ある人は、定員オーバーのボートで地中海を越え、ある人は死と隣り合わせの砂漠の道なき道を渡る。無事に国境を越えても搾取や強盗に遭う危険を冒しつつ、故郷を脱出する理由とは何か。ガーディアン紙で移民担当記者に抜擢された本書の若手ジャーナリストは、シリア難民の今を追った。

 例えば、ダマスカス市の水道局員だった37歳のハーシムの場合、ある日突然、情報機関に監禁され、拷問を受け、空爆で家を破壊されて仕事を失った。その後、国内で避難先を転々とするのも難しくなり、エジプトに脱出したものの、そこでも政変が勃発。3人の子どもと妻を守るため、先にひとりでヨーロッパに渡って家族を呼び寄せるという、命がけのプランを実行に移した。

 本書ではこのハーシムの決死の旅を軸に、難民相手に金儲けする業者や欧州の混乱、NGOやボランティアの奮闘に至るまでを克明に描いている。(ダイヤモンド社 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    TBS「ラヴィット!」の“テコ入れ”に不評の嵐! グダグダぶりを楽しむ独自性損失で視聴者離れ加速危機

  2. 2

    「おい、おまえ、生意気なんだよ」 野村監督は俺の挨拶を“ガン無視”、暴れたろうかと考えた

  3. 3

    「オールスター感謝祭」で“ブチギレ説教” …島崎和歌子は今や「第2の和田アキ子」の域

  4. 4

    NHK朝ドラ「風、薫る」巻き返しを阻む“最大のネック”…見上愛&上坂樹里Wヒロインでも苦戦中

  5. 5

    米国とイランが2週間の停戦合意も日本は存在感ゼロ…お粗末すぎた高市外交を識者「完全失敗」とバッサリ

  1. 6

    スピードスケート引退・高木美帆にオランダが舌なめずり “王国復権の切り札”として白羽の矢

  2. 7

    高市政権が非情の“病人切り捨て”強行で大炎上! 高額療養費見直し「患者の意向に沿う」は真っ赤なウソ

  3. 8

    ブチ切れ高市首相が「誤報だ!」連発 メディア、官邸、自民党内…渡る政界は「敵ばかり」の自業自得

  4. 9

    JFAは森保一氏の“囲い込み”に必死 W杯後の「次の日本代表監督」のウワサが聞こえない謎解き

  5. 10

    『エニイ・タイム・アット・オール』1964年のジョンのギターを聴くだけで元気が出る