「NO-NO BOY」ジョン・オカダ著 川井龍介訳
1941年12月7日。日本軍がパールハーバーを奇襲攻撃して以来、アメリカ人として生まれた日本人は、ジャパニーズ・アメリカンではなく日本人と見なされた。日本人は集められ、アリゾナなどの奥地にある収容所に入れられた。
アメリカへの忠誠を証明するため、軍隊に志願した者もいたが、イチローは母の願いで志願せず、刑務所に入れられる。4年後、実家に戻ったイチローは両親と再会したが、母は日本が戦争に勝ったと思い込んで、日本から迎えの船が来ると信じていた。
日米戦争によってアイデンティティーを喪失した日系人青年の苦悩を描く、1957年に出版された作品が新訳で蘇る。(旬報社 2500円+税)