「『日米合同委員会』の研究」吉田敏浩著
首都圏を覆う「横田空域」という広大な空域を米軍が戦闘機の訓練などで独占的に使用しているが、実はその権利は国内法上の根拠がなく、日米地位協定にも明記されていない。この無法状態の背後にいるのが「日米合同委員会」である。
発足したのは1952年。メンバーは日本の中央官庁の高級官僚と在日米軍の高級軍人、アメリカ大使館の高級外交官で、彼らが米軍基地の場所の決定、米軍関係者の犯罪の捜査などを協議している。1972年の沖縄返還で那覇空港や飛行場管制業務が日本に返されたが、嘉手納、普天間などの米軍基地の管制業務は米軍に委ねられたままである。
闇の権力機構に肉薄する一冊。(創元社 1500円+税)