「花の残日録」小川征也著

公開日: 更新日:

 45歳の弁護士、百田は、主治医に紹介された大学病院で、膵臓に腫瘍があり、リンパ節に転移していると告げられた。手術を受けて退院後1カ月で仕事に復帰しようと考えたが、医師は百田に緩和ケアを受けろと勧める。仕事以外に、書きかけの長編小説を完結させたいし、実家に預けたクサ亀とも和解したい……。

 百田は主治医に緩和ケアを依頼し、モルヒネを使うことになったらアヘンにしてほしいと頼んだ。グレアム・グリーンの小説に出てくる、アンナン娘に介添えをしてもらうアヘン吸引者を真似たかったのだ。そして、その日常をハードボイルドにつづろうと決意する。

 がんになった中年弁護士の終活の日々をユーモラスに描く。(作品社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲

  4. 9

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  5. 10

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が