「遠縁の女」青山文平著

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 宮本武蔵が没してすでに140余年も経つ寛政の年のある日、23歳を迎えた片倉隆明は剣の修行の旅に出ることになった。剣よりも学問が重きをなす時代にあってこの浮世離れした選択をしたのは、父からの強い勧めがあったからだ。

 父の急死をきっかけに5年の長きにわたる武者修行を終え国元に帰ってきた隆明は、藩校の朋輩で、その後市川家に婿入りした誠二郎が2年前に切腹していたことを知る。この意外な出来事と父の強い勧めの背後には隆明の遠縁で、誠二郎の妻となっていた幼馴染みの信江の存在があった。そして最後に語られた驚愕の事実とは――。

 他に、「機織る武家」「沼尻新田」を含む珠玉の3編を収録する傑作武家小説集。(文藝春秋 1500円+税)

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