「フリーランスぶるーす」栗山圭介著
主人公は、フリーターの平林健太、30歳。付き合っていた彼女と別れたのをきっかけに一旗揚げるつもりで上京したものの、気づけばアルバイトを転々とする生活になっていた。しかし愛犬ジョンの死を契機に、フリーター生活に区切りをつけることを決意。憧れのギョーカイ人の仲間入りを果たすべく、ダメもとで小さな編集プロダクションの門を叩いた。癖のある社長に運よく採用された健太を待ち受けていたのは、なんとアイドルの水着写真を撮影する南の島のロケ。カメラマンやスタイリスト、駆け出しのアイドルなど今まで出会ったことのない人にもまれながら、ギョーカイならではの洗礼を受けていくのだが……。
広告制作、イベントプロデュース、フリーマガジン発行などの経歴を経て、2015年「居酒屋ふじ」でデビューし、デビュー作がテレビドラマ化されて話題を呼んだ作家の最新作。90年代の広告業界で必死に生き抜く男を描いた自叙伝的小説になっている。(講談社 1600円+税)