「夜明けの約束」ロマン・ガリ著 岩津航訳
ロシア系ユダヤ人移民の「私」は母と2人暮らしだ。母はロシア貴族の貴婦人と称し、「一族に伝わる最後の宝石」を金持ちの英国人らに売りつけて生計を立てている。
「私」の数学の成績が0点でも母は気にしない。「おまえの名前はいつか学校の壁に金色の文字で刻まれるんだから」と。バイオリニストやバレエダンサーになる夢は挫折して、今はビクトル・ユゴーを目指す。
フランス軍の兵士として各地を転戦しているときも、母からの手紙は送られてきた。「私」の著作が出版されることになってからも母からの手紙は続いたが、「私」はその手紙に違和感を覚えた。
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