「ネメシスの使者」中山七里著

公開日: 更新日:

 熊谷で65歳の女が殺された。傍らに〈ネメシス〉の血文字が残されていた。「復讐」あるいは「義憤」の女神を意味する言葉だ。被害者は6年前の通り魔殺人事件の犯人の母だった。19歳の女子大生と12歳の女児を包丁でめった刺しにして殺した犯人は死刑を免れ、無期懲役で服役中だ。母親が包丁で刺殺されていることから、通り魔事件の遺族の復讐ではないかと思われた。

 ところが、〈ネメシス〉の文字が残された2件目の事件が発生。被害者は4年前のストーカー殺人事件の犯人の父だった。犯人は懲役18年で服役中で、両裁判とも同じ判事による「温情判決」といわれた。これは死刑を回避した判決への第三者の抗議なのか……。

 司法の正当性を問う意欲作。(文藝春秋 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性