「ネタ元」堂場瞬一著

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 事件記者とネタ元(情報提供者)をめぐる短編集。全5編、5つの時代、5人の新聞記者が描かれていく。

「号外」は1964年の東京オリンピック開会式当日。東日新聞の濱中は連続爆破事件の犯人「草加次郎」から会いたいと連絡を受ける。大スクープだが、オリンピックに押されて記事のスペースがない。それでも号外での記事を確保し、草加のもとへ……。

「タブー」は外務省の機密漏洩事件で情報提供者と記者との関係が問題とされていた1972年。婦人警官の葉子と付き合っていた根岸は、葉子からある事件に関する情報を得る。これを使えば特ダネになるが、情報源が恋人の警官であるとわかったら……。

 1986年の「好敵手」では長年のネタ元と再会した老記者の感慨、1996年の「ネタ元」と2017年の「不拡散」は、SNS時代に突入したネタ元と記者との関係が描かれている。

 長年の新聞記者経験のある著者だけに細部は実にリアル。新聞というメディアの行く末に関しても考えさせられる。

 (講談社 1600円+税)

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