「凍土の狩人」森村誠一著
総合病院を経営する漆原と妻の登紀子は、警察沙汰まで起こした浪人生の息子・宏之の性欲処理に頭を悩ます。揚げ句、誘拐した女性を薬で眠らせ、宏之にあてがうという行為を繰り返してきたが、ある日、目覚めた尚子に警察に通報すると脅され、思わず殺してしまう。
事務長の五藤に処理を任せるが、数日後、崖から転落した五藤の車が見つかる。しかし、五藤も尚子の遺体も出てこない。
一方、尚子の兄・松葉は、失意の中、妹に似た梨枝と出会い結婚。1年後、松葉の店の経営が傾き、3000万円が必要になった。あてがあると言い残し、資金繰りに出かけた梨枝が他殺体で見つかる。
満たされない現代人の欲望をテーマにした長編ミステリー。
(集英社 540円+税)