「政治的に正しい警察小説」葉真中顕著

公開日: 更新日:

「意識高い系」の社会派ミステリーで人気作家に上りつめた浜名湖だが、最近、作品に物足りなさを感じ、殻を破りたいと考えていた。そんなある日、編集者の鶴子から、ポリティカル・コレクトネス(PC)をコンセプトにした新しい警察小説に挑戦するよう勧められる。PCとは「政治的正しさ」。具体的には表現に潜む差別性を排除していくことを指す。その気になった浜名湖は、すぐに作品を仕上げ、鶴子に渡すが、鶴子の評価は最低だった。書き直しを進める浜名湖は、次第に書斎に置いておくのも耐えられないほど、過去の自分の作品に嫌悪感を抱き始める。(表題作)

 そのほか、児童虐待や尊厳死など、今日的なテーマを鮮やかに描く、6編収録のブラックユーモアミステリー集。

(小学館 650円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手