「痴漢冤罪」新堂冬樹著

公開日: 更新日:

 あるサラリーマンが電車の中で、少女から痴漢だと訴えられるところから物語は始まる。身の潔白を主張するつもりで駅の事務所に行こうとしたところ、居合わせた弁護士に示談に持ち込んだ方が被害が少ないと諭され、示談金を支払うことに。

 しかし、これは弁護士の木塚が、被害者役の女性と目撃者役の男と組んで仕掛けた巧妙なワナだった。

 結婚指輪をしている、いい靴を履いている、高い腕時計をしているの3条件をチェックしてカモを見極めてから、カモのそばに女を配置して女から体を押し付け、被害を装うのだ。

 トントン拍子に金を手に入れた木塚の次のターゲットは、人気の若手俳優・松岡。所属事務所の社長・吉原から金を巻き上げる魂胆だったのだが、吉原との交渉は想像以上に壮絶なバトルと化していく……。

「血塗られた神話」でデビューして以来、裏社会を描写した小説で定評のある著者の最新作。痴漢冤罪をテーマに、やるかやられるかの男の勝負を描いている。

(祥伝社 1850円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理