「悪だくみ」森功著

公開日: 更新日:

 著者は「文藝春秋」などで学校法人加計学園の獣医学部新設問題、いわゆる「加計学園問題」を追及してきたノンフィクション作家。「総理のご意向」という文書の存在が明らかになり、安倍首相の「説明責任」が注視されたが、解散・総選挙でその責任はうやむやになった。

 著者は粘り強く取材を続け、この横紙破り的な獣医学部新設というレールを誰が敷き、そこで何が起きていたのかを明らかにしていく。

 安倍と加計学園理事長・加計孝太郎は、南カリフォルニア大学に留学していたときの同窓生で40年来のつきあいがある「腹心の友」。加計学園は獣医学部新設をかねて切望していたが、それを阻んでいたのが文科省の規制。

 そこへ誕生したのが第2次安倍内閣で、文科相に就いたのが「安倍四天王」の下村博文。加計は下村とも交遊を深め、さらには安倍昭恵、下村今日子の2人の夫人にも後ろ盾を要請する。

 ここから見えてくる構図は明らかだ。1強と呼ばれる安倍内閣の権力の核心を突く、問題の書。(文藝春秋 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか