「悪だくみ」森功著
著者は「文藝春秋」などで学校法人加計学園の獣医学部新設問題、いわゆる「加計学園問題」を追及してきたノンフィクション作家。「総理のご意向」という文書の存在が明らかになり、安倍首相の「説明責任」が注視されたが、解散・総選挙でその責任はうやむやになった。
著者は粘り強く取材を続け、この横紙破り的な獣医学部新設というレールを誰が敷き、そこで何が起きていたのかを明らかにしていく。
安倍と加計学園理事長・加計孝太郎は、南カリフォルニア大学に留学していたときの同窓生で40年来のつきあいがある「腹心の友」。加計学園は獣医学部新設をかねて切望していたが、それを阻んでいたのが文科省の規制。
そこへ誕生したのが第2次安倍内閣で、文科相に就いたのが「安倍四天王」の下村博文。加計は下村とも交遊を深め、さらには安倍昭恵、下村今日子の2人の夫人にも後ろ盾を要請する。
ここから見えてくる構図は明らかだ。1強と呼ばれる安倍内閣の権力の核心を突く、問題の書。(文藝春秋 1600円+税)