「遺言」瀧本邦慶著、聞き手/下地毅

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 戦後73年を経て、第2次世界大戦を実体験として経験し、その実相を語ることのできる人が年々減っている。

 瀧本氏は17歳で海軍に志願し、空母「飛龍」に艦上機の整備兵として乗艦、1941年12月の真珠湾攻撃、42年のミッドウェー海戦に従軍。南太平洋のトラック諸島で敗戦を迎えた。そして、2008年から「戦争の生き残りとして、戦場の生き地獄ぶりを伝えたい」と語り部活動を始めた。

 文字通り死線をさまよい3度の奇跡で生き残った氏の言葉は一貫して“下っぱ目線”だ。いわく「命令通りの仕事をやるしかない」「偉い人は失敗の責任を取りません」。

 きな臭さの漂う現代の危うさに、一度は引退した瀧本氏が活動を再開、本書はその最後の遺言となる聞き書きである。

 (朝日新聞出版 1400円+税)

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