「遺言」瀧本邦慶著、聞き手/下地毅

公開日: 更新日:

 戦後73年を経て、第2次世界大戦を実体験として経験し、その実相を語ることのできる人が年々減っている。

 瀧本氏は17歳で海軍に志願し、空母「飛龍」に艦上機の整備兵として乗艦、1941年12月の真珠湾攻撃、42年のミッドウェー海戦に従軍。南太平洋のトラック諸島で敗戦を迎えた。そして、2008年から「戦争の生き残りとして、戦場の生き地獄ぶりを伝えたい」と語り部活動を始めた。

 文字通り死線をさまよい3度の奇跡で生き残った氏の言葉は一貫して“下っぱ目線”だ。いわく「命令通りの仕事をやるしかない」「偉い人は失敗の責任を取りません」。

 きな臭さの漂う現代の危うさに、一度は引退した瀧本氏が活動を再開、本書はその最後の遺言となる聞き書きである。

 (朝日新聞出版 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲