「他者という病」中村うさぎ著

公開日: 更新日:

 2013年、原因不明の病で入院した著者は、1度の心肺停止と2度の呼吸停止状態を経験。全身の硬直と痙攣、そして激痛に襲われたが、処方された薬「ホリゾン」で症状はやや改善する。一方で、この薬には脳に作用して人格を変えてしまうという副作用があった。本書は、当時「私が私でなくなっていく」という恐怖を抱きながら病と向き合った壮絶な記録。

「死」は突然襲ってくるブラックアウトだったという。そして今でも「あのときに死んでいればよかった」とたびたび思うという死生観にはじまり、車椅子生活でトイレの世話まで介護をしてくれる夫との絆、そして人格が崩壊するという恐怖など。

 渦中に記した文章に、それを読み返す現在の自分からの冷静な感想を添え極限体験とその体験による思索の旅をつづる。

(新潮社 490円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手