「他者という病」中村うさぎ著

公開日: 更新日:

 2013年、原因不明の病で入院した著者は、1度の心肺停止と2度の呼吸停止状態を経験。全身の硬直と痙攣、そして激痛に襲われたが、処方された薬「ホリゾン」で症状はやや改善する。一方で、この薬には脳に作用して人格を変えてしまうという副作用があった。本書は、当時「私が私でなくなっていく」という恐怖を抱きながら病と向き合った壮絶な記録。

「死」は突然襲ってくるブラックアウトだったという。そして今でも「あのときに死んでいればよかった」とたびたび思うという死生観にはじまり、車椅子生活でトイレの世話まで介護をしてくれる夫との絆、そして人格が崩壊するという恐怖など。

 渦中に記した文章に、それを読み返す現在の自分からの冷静な感想を添え極限体験とその体験による思索の旅をつづる。

(新潮社 490円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」