「新・冒険論」角幡唯介著

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 人跡未踏のチベット・ツアンポー峡谷踏破や、闇の北極圏を歩き続ける80日間の極夜行など数々の冒険を果たしてきた著者による冒険論。

 冒険という行動様式は本能レベルで組み込まれた人類の宿業のようなもので、文明や社会を動かす力でもあった。しかし、現代において冒険と称されるものは、野外フィールドで肉体の優劣を競うだけの体力自慢による疑似冒険的スポーツがほとんどだと喝破。当事者は冒険をしているつもりなのにそれが冒険になっていないうえに、本人がそのことに気づいていないという皮肉な時代だという。北極海横断のナンセンや北極点到達のピアリーらの冒険、さらに自らの体験を語りながら、冒険とはシステムの外側に飛び出す行為であると、冒険の本質に迫る。 (集英社インターナショナル 740円+税)

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