「新・冒険論」角幡唯介著

公開日: 更新日:

 人跡未踏のチベット・ツアンポー峡谷踏破や、闇の北極圏を歩き続ける80日間の極夜行など数々の冒険を果たしてきた著者による冒険論。

 冒険という行動様式は本能レベルで組み込まれた人類の宿業のようなもので、文明や社会を動かす力でもあった。しかし、現代において冒険と称されるものは、野外フィールドで肉体の優劣を競うだけの体力自慢による疑似冒険的スポーツがほとんどだと喝破。当事者は冒険をしているつもりなのにそれが冒険になっていないうえに、本人がそのことに気づいていないという皮肉な時代だという。北極海横断のナンセンや北極点到達のピアリーらの冒険、さらに自らの体験を語りながら、冒険とはシステムの外側に飛び出す行為であると、冒険の本質に迫る。 (集英社インターナショナル 740円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」