「敗れども負けず」武内涼著

公開日: 更新日:

 冒頭の作品「管領の馬」の主人公は、関東管領・山内上杉憲政。甲陽軍鑑にも「生得昏愚にして武将の器なし」とまで酷評されている。物語は北条氏康軍に攻め込まれ、憲政の跡取り息子・龍若丸(13歳)が守る支城が落城寸前。城を失えば、本城の壊滅ばかりか、跡継ぎを失うことになる。

 上杉軍も奮戦したが、城は落城。ほうほうの体で、憲政以下は逃げるのだが、長尾景虎に管領職と上杉姓を譲ることにする。上杉謙信の誕生だ。 後に謙信率いる「反北条連合軍」による小田原城包囲などさまざまな激動を関東に引き起こす。 ほかに、龍造寺隆信、北条政子ら敗軍の将を主人公にした異色の5短編時代小説を収録。 (新潮社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する