「あの夏、二人のルカ」誉田哲也著

公開日: 更新日:

 沢口遥は、夫と別れ、名古屋から東京・谷中に戻ってきた。「谷中ぎんざ」を歩き、「夕焼けだんだん」を下りながら、14年前の自分を思い出している。女子高生だった遥は、ギターケースを提げていた。

 場面は変わり、高2の久美子は、ギターを弾くクラスメートの翔子と実悠に声をかけ、ガールズバンドを結成する。ドラマーの久美子がリーダーとなり、父親が経営するレンタルミュージックスタジオの空き時間に、3人で練習を始めた。そこに、マネジャー役の瑠香が参加、さらに転校生のヨウがボーカルに加わって、キラキラ輝く季節が始まった。

 ヨウは敵を威嚇するような目をして、怖いくらい本気で歌う。ヨウの歌は聴く者を揺さぶる。

「あんた、なかなかロックしてんじゃん」

 久美子は仲間を引っ張って、夢に向かって走り出す。バンド名はルーカス。練習を重ねて腕を上げ、オリジナル曲を作り、プロデビューの話も持ち上がる。

 別々に進行する遥と久美子の物語は、14年の歳月を超えて合流する。大人が嫌いで、自分も嫌いなヨウ。なぜか献身的にメンバーを応援する瑠香。多感な少女たちは音楽を通じて確かにつながっていた。でも、キラキラした夏は短かった……。

 ギターテクニックや音楽用語が満載で、若き日にギターやバンドに熱中したおじさんたちも、胸キュン間違いなし。 

(KADOKAWA 1500円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    「立花一派」の一網打尽が司法の意志…広がる捜査の手に内部情報漏した兵庫県議2人も戦々恐々

  3. 3

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  4. 4

    「ロイヤルファミリー」視聴率回復は《目黒蓮効果》説に異論も…ハリウッドデビューする“めめ”に足りないもの

  5. 5

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  1. 6

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  2. 7

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です

  3. 8

    元プロ野球投手の一場靖弘さん 裏金問題ドン底を経ての今

  4. 9

    米中が手を組み日本は「蚊帳の外」…切れ始めた「高市女性初首相」の賞味期限

  5. 10

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層