「爆身」大沢在昌著

公開日: 更新日:

 通称キリと呼ばれるボディーガードのもとに、ニュージーランド在住のトマス・リーなる人物から、日本滞在中の警護依頼のメールが届いた。フィッシングガイドをしているというリーが、なぜ大手警備会社ではなく、自分に警護を依頼したのか。

 さらに、一体誰に狙われているというのか。疑問に思ったキリは、とりあえず依頼人から話を聞くため、来日後の宿泊先となっているホテルのレストランに打ち合わせに向かう。

 ところが、キリが到着直後、ホテル内で爆発のようなものがあり、依頼人が爆死してしまったことを知る。火薬のにおいもせず、被害者はリーひとりだけだった。事故なのか、殺人なのか。フィクサー・睦月の依頼で、キリは事件の真相を調べ始めるのだが……。

 本書は、前作「獣眼」に続く、“ボディーガード・キリ”シリーズの最新作。キリのもとに舞い込んだ依頼人リーの爆死という事件を巡って、呪い殺されることを恐れていたというリーの正体や、リーを襲った呪術のからくりが徐々に明らかにされていく。呪術で果たして人体発火は可能なのか。

 主人公のクールな洞察が光るハードボイルド小説。

(徳間書店 1900円+税)


【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?