「わたし、定時で帰ります。」朱野帰子著

公開日: 更新日:

 東山結衣はウェブサイトの制作やコンサルタントを業務とする社員300人の中堅企業に勤める32歳。彼女の信条は、どんなに仕事が忙しくても残業せずに定時で帰ること。ところが2年前まで付き合っていた晃太郎は真逆の超仕事人間。結婚に向けての両家顔合わせの日も徹夜仕事ですっぽかされ、愛想を尽かした。

 その晃太郎が結衣の会社に転職し、同じチームに配属された。しかも新しく上司に就いたのは、社員に過酷な労働を強いて倒産に追い込んだ福永。晃太郎のいた会社の元社長だ。案の定、福永は通常業務ではとてもこなせない案件を強引に引き受けてしまう。

 無理を押しつける福永に対抗して、チーム全員を定時で帰らせようと策略をめぐらす結衣。対して、元社長の意向をなんとかかなえてやろうと休日はもちろん、寝る間も惜しんで任務を遂行しようとする晃太郎――。

 正反対の結衣と晃太郎というカップルを通して、大きな問題となっている長時間労働問題の本質に迫っていく。思わずそうだと膝を打つような「会社あるある」も満載。新スタイルのお仕事小説。 (新潮社 1400円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋