「彼女がエスパーだったころ」宮内悠介著

公開日: 更新日:

 千晴は、取材で訪ねた「わたし」が持参したスプーンをたちまち小さな龍のオブジェに変形させてみせた。彼女がスプーンが曲がることに気づいたのは5歳のときだったという。彼女が注目を集めたのは、就職後にストレスからうつ病になり、大量のスプーンを曲げては放る動画をウェブに公開したことがきっかけだった。

 エスパー界のゆるキャラとなった千晴自身は、超能力があるともないとも公言を避けていた。結婚相手の物理学者・秋槻が転落死した後、千晴は毀誉褒貶の日々を過ごしていた。わたしは彼女の上司や母親へも取材を続ける。(表題作)

 火の扱いを覚えた猿による放火事件をテーマにした「百匹目の猿」など、SFとミステリーが融合した短編作品集。

(講談社 610円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲

  4. 9

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  5. 10

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が