「平凡な革命家の食卓」樋口有介著

公開日: 更新日:

 東京・国分寺の市会議員・増岡誠人が自宅で死亡しているのが発見されたところから物語は始まる。増岡の遺体は帰宅した家族によって発見され、医師と警察が立ち会うことになったが、特に不審な点もなく医師の見立ても急性の心不全だった。

 ところが、所轄での、ぱっとしない毎日を送っていた卯月枝衣子警部補は、このなんでもない病死をどうにか殺人に格上げして本庁栄転の足掛かりにできないかと思いつく。

 亡くなったのは、前職は中学教師で担がれただけの市会議員だが、まがりなりにも政治家だと主張して、念のため血液検査をしておくことを提案。刑事部長を言いくるめて、強引に単独捜査に乗り出すのだが……。

「ぼくと、ぼくらの夏」で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞でデビューして以来、ユーモアあふれる青春ミステリーなどの分野で活躍している著者による最新作。なんとか事件に仕立てようともくろむ主人公が掘り返した真実に驚かされる。

(祥伝社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは