「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」奥野克巳著

公開日: 更新日:

 文化人類学者である著者は、ボルネオの狩猟採集民「プナン」の居住地に1年間滞在した。そこで、プナン語には「借りる」「返す」という言葉がないことに気づく。財が個人所有されるという前提がそもそもない。

 狩猟民にとって自然のたまものは共同体のメンバーで共有するものだが、自然の恵みに頼って生きる生活には「死への恐れ」が伴う。農耕を始めることでその「恐れ」はなくなったが、「所有」という概念が生まれた。所有する者は「所有」の奴隷になるリスクがある。「所有欲」のないプナンには格差がないが、個人の向上心や努力もない。

 豊かさ、幸せとは何かを問い直す人類学者のエッセー。

(亜紀書房 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(2)

  2. 2

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(1)

  3. 3

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  4. 4

    2026年は米価が値頃になるのか? 昨年末には最高値更新も業界には先安感漂う

  5. 5

    「日吉湯」は大満足のスーパー銭湯風銭湯 15台分の駐車場も完備

  1. 6

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(3)

  2. 7

    NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」への“期待と不安”…第1話を見た時代劇研究家が語る

  3. 8

    “脇役中の脇役”仲野太賀に秀吉を補佐する弟・秀長はまさにハマリ役 NHK大河「豊臣兄弟!」スタート

  4. 9

    青学大・原晋監督も警戒! 早大総長の「2億円の置き土産」は来年開花するか

  5. 10

    矢沢永吉と郷ひろみ…NHK紅白で浮き彫りになった“待遇格差”の現実 視聴率35%回復も問題山積