「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」奥野克巳著

公開日: 更新日:

 文化人類学者である著者は、ボルネオの狩猟採集民「プナン」の居住地に1年間滞在した。そこで、プナン語には「借りる」「返す」という言葉がないことに気づく。財が個人所有されるという前提がそもそもない。

 狩猟民にとって自然のたまものは共同体のメンバーで共有するものだが、自然の恵みに頼って生きる生活には「死への恐れ」が伴う。農耕を始めることでその「恐れ」はなくなったが、「所有」という概念が生まれた。所有する者は「所有」の奴隷になるリスクがある。「所有欲」のないプナンには格差がないが、個人の向上心や努力もない。

 豊かさ、幸せとは何かを問い直す人類学者のエッセー。

(亜紀書房 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    箱根駅伝中継所ドクターは全員が順大医学部OB…なぜか協力しない大学がウジャウジャ

  2. 2

    青学大駅伝選手 皆渡星七さんの命を奪った「悪性リンパ腫」とはどんな病なのか?

  3. 3

    統一教会「自民290議員支援」で黒い癒着再燃!ゴマかす高市首相をも直撃する韓国発の“紙爆弾”

  4. 4

    「インチキ男 ジャンボ尾崎 世界の笑い物」マスターズで不正しても予選落ち(1994年)

  5. 5

    萬福(神奈川・横浜)異彩を放つカレー焼麺。常連の要望を形にした強めのとろみ

  1. 6

    浜辺美波 永瀬廉との“お泊りデート”報道追い風にCM契約アップ

  2. 7

    神田沙也加さん「自裁」の動機と遺書…恋人との確執、愛犬の死、母との断絶

  3. 8

    長澤まさみ「結婚しない女優」説を覆したサプライズ婚の舞台裏… 福永壮志監督と結びつけたのは?

  4. 9

    スライム乳の小向美奈子はストリッパー歴12年 逮捕3回経て

  5. 10

    悠仁さま初の新年一般参賀 20年後「隣に立つ皇族」は誰か? 皇室に訪れる晩婚・少子化の波