「泥濘」黒川博行著

公開日: 更新日:

 表向きは、建築工事や解体土木工事の仲介斡旋をする経営コンサルタント。しかし、その収入の半分以上が、建築現場にうろつくヤクザや企業舎弟を、ヤクザを使って抑えるサバキの仕事で賄う二宮は、関わるたびに酷い目に遭いながらも縁が切れない桑原という極道に毎回悩まされている。

 ある日、ふらりとやって来た桑原は、警察OBが絡んでいるという歯科医の診療報酬詐欺の新聞記事を二宮に見せる。どうやら、今度はこの老人を食い物にする彼らをターゲットに、金を得る魂胆らしい。嫌々ながらも桑原に連れ出された二宮は、老人相手の貧困ビジネスに触手を伸ばしていた白姚会と桑原をつなぐ役目をさせられることになるのだが……。

 本作は、二宮と桑原のコンビが活躍する疫病神シリーズの最新作。今回も、桑原の策略に巻き込まれた二宮。しかし二度と関わらないつもりの桑原にも命の危機が。最悪の状況下で繰り広げられる2人の夫婦漫才のようなやりとりが絶妙だ。

(文藝春秋 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発