「ファーストラヴ」島本理生著

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 アナウンサー志望の聖山環菜は、都内キー局の2次面接を受けていた最中に具合が悪くなり、途中で辞退。その足で父親が講師を務める美術学校へ行き、包丁で父親を刺殺した。逮捕されたとき、「動機はそちらで見つけてください」と言ったことで大きな話題となった。

 臨床心理士の真壁由紀は環菜の半生を本にまとめるよう依頼されるが、偶然にも、環菜の国選弁護人は由紀の義弟で、大学時代に同期生だった迦葉。

 公判を前に、由紀は迦葉の協力の下、環菜やその母親ら周辺の人たちに取材を重ねていく。

 そこから浮かび上がってきたのは、幼い頃から強圧的な父親に押さえ付けられ、それを見ぬふりをして娘の自己責任だと責め立てる母親、両親の愛情を得られないことで自ら罰していく孤独な少女の姿だった。

 自身も家族に問題を抱えている由紀は、環菜の閉ざされた心の闇に光を当て、事件の真相に迫っていく――。

 家族という迷宮がネグレクト、性的虐待といった問題を生み出していく経緯を描いた問題作。

(文藝春秋 1600円+税)

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