「男娼」中塩智恵子著

公開日: 更新日:

 前著「風俗嬢という生き方」で、風俗嬢とその業界について取材をしていくなかで、著者の興味は次第に男娼へと移っていったという。ここでいう「男娼」とは、性サービスに携わる男性および性自認は女性で生物学的には男性のニューハーフ。職種としては、出張ホスト、ウリセンボーイ、ニューハーフヘルスの3つが紹介されている。

 登場するインタビューイは、3職種の計10人。経歴は35歳で出張ホストに転じた元社長、国立大学医学部に合格したにもかかわらず医者の道には進まなかった子持ちのウリセンバーオーナー、児童養護施設で同級生や先輩に犯されて自らの性自認を意識した「男の娘」、46歳でニューハーフヘルスにデビューした元大手企業の会社員……と多様。そして、そこへ通ってくる女性・男性のなかには、セックスの悩み(夫婦間や男性恐怖)を抱えていたり、孤独の殻に閉じこもっている人が多いという。

「男娼」という性サービスの実態に迫った貴重なノンフィクション。

 (光文社 1500円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層

  3. 3

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 4

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  5. 5

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  1. 6

    陰謀論もここまで? 美智子上皇后様をめぐりXで怪しい主張相次ぐ

  2. 7

    白木彩奈は“あの頃のガッキー”にも通じる輝きを放つ

  3. 8

    渋野日向子の今季米ツアー獲得賞金「約6933万円」の衝撃…23試合でトップ10入りたった1回

  4. 9

    12.2保険証全面切り替えで「いったん10割負担」が激増! 血税溶かすマイナトラブル“無間地獄”の愚

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?