「蹴爪」水原涼著

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 ベニグノの父、パウリーノは闘鶏場の胴元で、闘鶏で村中の男たちから金をまき上げ、自堕落な生活をしている。村ではハクジンによる殺人事件が起き、不穏な空気が漂う。

 ある日、ベニグノの幼なじみのグレッツェンの鶏、エクエクが闘鶏に出ることになった。足に重い蹴爪をつけられ、熾烈な闘いを繰り広げるが、エクエクは相手の蹴爪で首を裂かれて倒れ、パウリーノがその喉をかき切った。2日後、大きな地震が起き、悪魔よけのために、パウリーノが建設していた祠が倒れた。そして、パウリーノが祠を壊したという噂が村中に広がる。

 ひ弱だったが暴力に襲われて変わっていく、東南アジアの島に住む少年を描く表題作ほか1編。

(講談社 1700円+税)


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