ロックに思いを懸ける男女4人を描く青春小説

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「ぎぶそん」伊藤たかみ著/ポプラ文庫ピュアフル 570円+税

【話題】往年のエレキ小僧にとって、ギブソンのフライングVは憧れのギターのひとつだ。「矢印の山の部分をさかさまにしたようなギターで、戦闘機かロケットみたいに見える」その形状はステージ映えし、ジミ・ヘンドリックス、レニー・クラヴィッツ、キース・リチャーズ、マイケル・シェンカーといったギタリストたちが愛用した。本書のタイトルはそのギブソンから取られている。

【あらすじ】時は1988年。中学2年生のガクは大のロック好きで、夏休みに親友のマロ(ベース)と幼なじみのリリイ(ドラム)を誘ってバンドを組んだ。去年アルバムを出したばかりのガンズ・アンド・ローゼスを聴いて、たちまち夢中になったガクはなんとしても彼らの曲をコピーしたいと思った。

 しかし、それには自分より上のギタリストが必要だ。そこへ同級生のかけるの噂を聞きつけた。彼はギターがすごくうまいというのだ。早速ガクはマロを誘ってかけるの家を訪れる。かけるの部屋には驚いたことにギブソンのフライングVがあり、試しに弾いてもらうと期待通りの腕前。4人になったバンドは、秋の文化祭のステージに向けて練習を始めるが、事あるごとに対立するマロとかける、芽生え始めた恋の予感に互いに戸惑うガクとリリイ……多感な彼らにあれこれと問題が降りかかってくる。

【読みどころ】4人それぞれの家庭の描写は、やたらと「ぎぶそん」と叫ぶ酒浸りのじいちゃんがいるかけるを除いて、最小限に抑えられ、音楽を通していかに彼らが結びついていくかに焦点が当てられている。昭和から平成という時代の変わり目に、ロックに思いを懸ける男女4人の揺れ動く心の模様を丁寧にすくい取っていく青春小説。
 <石>

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