「魔女・怪物・天変地異」黒川正剛著

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 1480年ごろドイツに生まれたファウストは、悪魔と契約してこの世のあらゆる知識と特殊な能力を手に入れ、引き換えに24年後に悪魔に自分の魂を譲り渡した人物として知られている。それは森羅万象に関する知識を獲得したいという衝動による行為だった。

 また、1560年ごろから西欧で魔女狩りが激化した。彼女たちは好奇心から魔術を知りたいと考えたとされている。中世から近世にかけて、過度の好奇心で神が人間に知ることを許した範囲以上のことを知ろうとするのは越権行為で、悪魔の領域に入り込むことだと見なされていたのだ。

 天変地異や怪物、悪魔などについての言説を通して、近代的精神がどこから生まれたかを探る。

(筑摩書房 1600円+税)

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