「本の夢 本のちから」椎名誠著

公開日: 更新日:

 フレデリック・フォーサイスの「悪魔の選択」の冒頭に、アメリカの大統領が自国の監視衛星の映像を見ているシーンが出てくる。それはロシアのウラル地方の小麦畑で、農夫が立ち小便している映像だった。人工衛星がそんなものまで見分けてしまうことに落胆した著者は、ヘディンの「さまよえる湖」を思い出した。湖がさまようことにロマンを感じたのに、それは宇宙衛星時代には意味をなさなくなった。その本に登場する2000年前の失われた砂漠の都市の風景も、NHK「シルクロード」シリーズで見た現実の風景に影響されてしまった。(「辺境地帯の現場読み」)

 探検好きの椎名誠の世界を広げてくれた本の魅力を称えるエッセー。

(新日本出版社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑