「本の夢 本のちから」椎名誠著

公開日: 更新日:

 フレデリック・フォーサイスの「悪魔の選択」の冒頭に、アメリカの大統領が自国の監視衛星の映像を見ているシーンが出てくる。それはロシアのウラル地方の小麦畑で、農夫が立ち小便している映像だった。人工衛星がそんなものまで見分けてしまうことに落胆した著者は、ヘディンの「さまよえる湖」を思い出した。湖がさまようことにロマンを感じたのに、それは宇宙衛星時代には意味をなさなくなった。その本に登場する2000年前の失われた砂漠の都市の風景も、NHK「シルクロード」シリーズで見た現実の風景に影響されてしまった。(「辺境地帯の現場読み」)

 探検好きの椎名誠の世界を広げてくれた本の魅力を称えるエッセー。

(新日本出版社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明