「都市空間の明治維新」松山恵著

公開日: 更新日:

 明治維新の時、維新政府の拠点は実は京都だった。畿内社会の反発を恐れて、政府が東京への遷都を宣言したことは一度もなく、当初、江戸は遷都の対象から外されていた。

 1864年の禁門の変以来、有力な藩は京都に拠点を置いていたが、因習のはびこる京都から遷都する必要があった。だが大坂城は鳥羽・伏見の戦いで焼け落ちたため、大坂に遷都すると皇居や官庁を新設しなければならない。ところが江戸は、江戸城外堀内側の武家地を新政府が没収していたため、遷都が可能だった。

 また、新政府は、国元に戻っていた旧大名を廃藩置県直前に再上京させて地元から引き離し、定住を命じて支配下に置くという措置を取る。

 新政府がどのように東京を首都とし、新旧の支配者層を入れ替えていったかに視点を当てて、明治維新を見直す。

 (筑摩書房 880円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ